“夕凪の街桜の国” (こうの 史代)
以前、紹介したヒロシマを描いた傑作。こうの史代 作「夕凪の街桜の国」が映画化された。
まえから気になっていて、帰宅途中で寄り道してレイトショーを観る。
原作通り2部構成。人物設定とか場面とか若干の違いはあるけれど、原作に沿った内容。桜の国もいいが、最初の物語、夕凪の街がいい。ヒロシマのあの日を直接語るのではない。ひとりの女性の生活と恋がむしろ明るく描かれている。日常を普通に描けば描くだけ、結末に近づくほど、ヒロシマに落とされた原爆の怖さ、恐ろしさ、悲惨さがじわりと胸に突き刺ささってくる。
決して終わりのない、決着のつかない物語。原作の作者が、あとがきで、「このオチのない物語は、三十五頁で貴方の心に沸いたものによって、初めて完結するも のです。」と書いている。
この作品で考えたこと、前のエントリーで書いたが、すべてのヒロシマ的なもの・ことに対して当事者としてどう向き合うか、何度も 何度も考えてみようと想った。
田中麗奈とか堺正章、藤村志保とかもいいけど、麻生久美子の演技が本当に素晴らしい。観るべし。で、映画を体験すると原作の凄さが、また見えてくる。これは、絶対に読むべし。8月、あの日を考える、これからを考える機会に...おすすめ。
WOMEN.DOGATCHで麻生久美子のインタビューの連載が始まった。必見。