逢具(きっかけの支援)
1998年くらいだったろうか、勤務先で、オンライン・コミュニティ形成の支援ツールというニッチな分野で、実験的なツールを作ったことがある。モックアップを作って、サービスの展開を図ろうとしたのだけれど、今ひとつうまくいかず...(笑)
出会いの空間の中に、自分の関心をタグ化して、その好み度合い(好き嫌い)も併せて登録、その属性をもったエージェントをこの空間に放り込む。すると、自分の分身の周りに自分の関心に近しい分身たちが集まってくる。関心のバイアスを変化させると、集まるエージェントも変化する。酒好きのバイアスを+すると自分が酒好きならば酒好きなエージェントが集まってくる、そんな感じだ。
エージェントをブラウズするだけではなく、集まってきた周辺のエージェントに対してチャットをしたり、メールを送ったりコミュニケーションを仕掛ける機能も具備していた。もう一つ...分身が今いる位置に、手紙(orURL)を置いておくことも出来た。手紙を置くことで、いずれ、その位置に誰かの分身がくると、その置き手紙を読むことができる。時間を超えた、偶発のコミュニケーション、きっかけ創出マシン。コミュニティ形成の最初の段階、「出会う」、コミュニケーションを始めるきっかけを与えるツール...そんな意味で逢う道具、逢具と名付けた。Javaのアプリケーション。なんだか、懐かしい...。すでに公になって随分経っているし、秘密プロジェクトでも無かったし、もう無くなってしまったので、ここで書いても問題は無いだろう。(笑)
すでに、公に残っているものは、上記の研究論文の中に登場する写真だけ、なんだかとても惜しい気がするが、タイミングとかもろもろ、惜しいなぁとか、いまあれば、とか、そういう埋もれていくものたちって沢山あるのだろうなと思う。そういう繰り返しだろう。あのころは、いろんな無駄なことをしていたようにも思うけれど、あのときの無駄は、すごく役に立っている気もする。
ぼんやりと、一日、マックに向かっていて、ぼーっとしていたら、想い出した。ちょっと前に、雑談でそんなことを話したら、面白いですねって言ってくださった方がいて、この場に記憶しておくことにした。
“ビッグ・オーとの出会い―続ぼくを探しに” (倉橋 由美子, Shel Silverstein, シェル・シルヴァスタイン)
あの日にかえりたい from the album “ユーミン・ブランド” by 荒井由実
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