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2005.06.19

筆を作る...:3D-NWS

和田さんにお会いしたのは、もう5年ほど前になる...
ATRという研究所の研究者だった。コンピュータの中で、自分で組み立てた生命体をサイバーワールドに放す。作られた生命体は自ら自立的に動き、群れをなし、コミュニケーションする。ネットワークゲームとか何か仕掛けられないか...そんなお話だったように思う。当時のネットワークの状況とかPCの性能とかまだまだ足りない部分が多くて、残念ながらうまくサービスとして世に出すことにはならなかった。その後、和田さんはATRを辞められ、その夢を追ってアントラッドという会社を立ち上げられた。私もベンチャー投資会社に紹介したりしたが、それもうまく進まず....。その後のことはよくわからなかったのだが.. 

Untrod 少し前に、連絡があり、奥さんとご一緒に先日、久しぶりにお会いした。自らの夢を子供のように語る和田さんは変わっていなかった。ただプログラムは、ものすごく進歩していた(といっても進歩した部分のすべてを私が理解できてはいないのだけれども...)。あれからIPAの未踏プロジェクトに応募し採択され、平成12年から3年間支援を受け、このコンセプトを現実化する作業を続けるとともに、生活の基盤を固めるためアントラッドというソフトウェア会社を立ち上げられた。和田さん自身もその過程で天才プログラマ/クリエーターとしてIPAから選出されてもいた。この課程で、当時、和田さんが語った夢の部分が現実化していた。それを見せていただいた。ネットワーク3D統合環境3D-NWS[PDF]

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 たった二つのフレームを規定するだけで、なめらかに動き出すによる3Dモデリングツール。なんと「javaアプレット」。四元数と超複素数を操って姿勢制御を行っている(ちんぷんかんぷん...だ...)とか、とにかく最先端な基本技術に裏打ちされたプロダクトがスペックがそれほど高くないnotePCで実際に動く様を見る...。自分で作成したモデル部品が自分のワールドや他人のワールドで動き、NW上で使われ、共有・加工・再利用される。子供でも十分に操作は可能、実際、ITスクールとかで教材として利用もされている。現実世界をシミュレーションしたワールドをその生命体が動き回る。磁石のN局しかない世界の磁力の流れシミュレーションとかそう、何かできそう...そういう具合なんだけれど...。

コンセプト:
ネットワーク3D統合環境3D-NWSは、ユーザー自らが創造主体となる全く新しいパラダイムを切り開きます。3D-NWSの最大の特徴は、ユーザーが好きなオブジェクトを任意に追加でき、それがネットワーク上の全ユーザーの共有資産となり、再利用し改良されることによって、コンテンツの開放型リサイクル・パスが生まれることです。ユーザーの創作したコンテンツがネット上で融合されることにより、新たなコミュニケーションの場を提供できるのではないかと考えています。一方的な情報ストリームをただ享受するだけの受身の姿勢に馴染んでしまったユーザー達に、創造的なクリエーターとしての感性に目覚めてもらい、デジタル・コンテンツの増殖サイクルを刺激し、コンテンツ流通を活性化することを目的として設計されています。

 和田さんは、子供たちのための粘土とかお絵かきノートとか、そんなものをPCで作りたかったといったけれど、これは昔、粘土で作った人形とかロボットとか、訳のわからない形 ;) とかで遊んだ、そのまま、それをサイバーワールドで作り遊ぶための「筆」だ。
 見た目はよくある「ネットワーク上で仮想世界や仮想現実の散策を楽しむ」というソフトウェアだけれども、深い、深い、さわりがいのある、可能性に満ちたプロダクトだと思う。クリエートする、表現する人(子供?)の可能性を封じ込めない、思ったことを思ったように、サイバー仮想空間に現出させるリアルシミュレーター。そういう意味での「筆」。表現したいものがあって、それを実現させるための道具。
 技術の革新を通じて様々な新しい「筆」が出てきているようだ。ブログ・システム(CMS)もまさに「筆」だし...。少し前に、「絵でプログラムを作成するツール」、Viscuiteの作者の原田さんとお話しする機会があったのだが、Viscuiteもまさにそうだ。絵本のためのプログラム言語。
 ただ、表現する気持ちを持っている人たちが自分にあった「筆」を見つけて、それを公開する...それは理想のことなんだけれども、その課程を完了できる人たちは意外に少ない...そこが、「続けられる仕組み」となるために超えなければいけないハードルだと思う。 どんなときに人は「筆」をとるのか。筆を取らせるにはどうしたらよいのか。そこを考えることがポイント...それはなかなか、楽しいことだけど、ものすごく難しいことかもしれない。どなたか、挑戦してみませんか ;)

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