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2006.06.18

10年前を振り返る

 スポンサード・ネットワークの世界。10年以上前に中川さんという方が書いたテキストを目にしたときの感動は今も忘れない。これだと思った。これが目指すべき私、我らの世界。
 インターネットがようやく一般の人たちに届けられようとしていた時期。10年前の流行語大賞が「インターネット」だった。
10年前を振り返ると必ずしもインターネットはメインではなかった。一般のユーザーにはパソコン通信というワードの方が通りがよかったそんな時代。当時の我々が漠然と感じていたネットワークに対する際の不安、悩みのようなもの・ことを「あらかじめ登録した顧客だけに情報発信する。」「あらかじめ欲しい情報だけがやってくるように登録する」「ネットでの活動には定額制を導入する。」という3つの方向で解決しようという提案がここで紹介する論文の主旨だ。なんだか今では当たり前のことになっているけれど、10年以上前のことである。

結論の部分を少し、引用してみる。

その第一歩は、これまでさまざま販売促進費用、宣伝費用にかけていた費用 をぜひパソコン通信のスポンサーとなるという方向で支出先を転換することだ。そしてネットワーカーたちは最低限の定額を徴収し、活発に活動することで必要 となる費用はスポンサーが負担する仕組みを作る。
 その代償として、購買意欲や関心の高い顧客に情報を発信することが許されるようなルールを作 る。スポンサーにとって情報発信の見返りの少ないとあみをかけるような情報発信の発信先を絞る、顧客が受取る情報はビビッドな興味を持つものに限定され る。そのようなような「場」をメディアとして今から志向するべきではないのか。若いメディアだ。そこには、今のぼくらには予期しえない可能性のフロンティ アが広がっている。
 ネットワークの利用をあえて制限しない仕組みを作ることには、不安が伴うだろう。しかし、性善説に立つのだ。人間の智恵の発 展にあえて楽観的なスタンスを取ってみようではないか。「必要は発明の母」だ。コミュニケーション手段についてのニーズが活性化されることで、コミュニ ケーション手段のイノベーションがさらに進むだろう。あえて楽観的な展望にしたがって、思い切ったことをしてみよう。「善循環」をパソコン通信の世界で実 現しよう。あえてこの冒険にチャレンジする人々の登場を願ってやまない。そのような人々の名は、人間社会の進歩に真に貢献した人々として末永く記憶され、 賞賛されることだろう。

http://www.asahi-net.or.jp/~JQ9I-NKGW/sponsor.html

 こ こで語られているのは(今は亡き)パソコン通信ネットワーク。しかしながら、驚くのは、この10年、特にこの5年ほど起こってきたネットワークで起きた象 徴的な出来事を見事にまで予言していることだ。Adsense、SNS、Blog、feed...ネットワークが変えつつあるメディアの有り様、コミュニ ケーションの方法。ビジョンを持つということはこういうことなのか...改めてこのテキストに触れてみて、ブームに乗るのではない、時代を超えてぶれな い、哲学をもつことの大切さを知った気がした。是非、全文を読んでいただきたい。10年前のマスメディアにも登場しなかったテキストに、こうして今、出会え ることもすばらしいことだ。

 10年先を読むには10年前を振り返ってみる。これは意外に有効なことなのかもね。

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