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2005.11.03

その日のまえに 重松清

 母が亡くなったのは十数年前。
十月の初旬、自分の誕生日の二日前に息を引き取った。
遠くに住んでいて、親の死に目には、結局、会えなかった。
けれど、ガンの再発で覚悟はできていたし、社会人になって、家庭を持つことを報告できたし、結婚してたてで、二人で遠くに住む親元に何度も会いに行って、親孝行のまねごともできた。
 ただ、実際にその日が来たときは、55歳という若さで逝ってしまった母親に対して、僕ができたことは、これだけだったのかとかいろいろ考えて、つらくて、悲しくて...身近にいる父親が一番つらかったのだろうけれど、僕も堪えた。

あと十年ほどで母親が死んだ年齢になる。身内が、あるいはもしかしたら万が一、僕自身が死ぬということ、漠然と、ぼんやりと、そうしたときに僕は何をして、どんな風に過ごすのか...。

 重松清の「その日の前に」は、死を目前にした人、その周りの人たちの物語。

4163242104 その日のまえに
重松 清

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初めて重松作品を読んだ。うまいな。ないちゃったよ。

p.s.
 決して、通勤電車とかでは読まないように。

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その日のまえに年をとると、涙腺が弱くなってくるんでしょうか???なんか久しぶりに本を読んで涙がこみあげてきましたよ。 重松清さんの作品は今回初めて読みました。「疾走」とか気になる作品はあったんですが、なんかタイミングがあわなくて。久々に小説を読みましたが....... [Read More]

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その日のまえに重松 清 文藝春秋 2005-08-05by G-Tools ネタバレ警報発令! 完敗。 私は、基本的に、お涙頂戴系には評価が厳しいんです。特に、病気で人が死ぬものと、ペットが死ぬものには、きついです。いくら小説の中だからって、読者を泣かせるために、簡単に命を奪うなよ、と、思っちゃいます。安易なオチだ、と、思って、さめるんです。(それでも泣いちゃうので・・・それがまた腹が立って(笑) でも、この短編集は、あまりにもストレートに「死」をテーマにしているので、そういう... [Read More]

Comments

こんにちは。この本、泣けましたねー。私は、帯があまりにも「お涙頂戴」な雰囲気だったので、ひねくれて、絶対泣かない!と、頑張ったのですが(笑)、結局泣いちゃいました・・・。いい本でした。重松さんの本は、まだ2冊しか読んでいない初心者なので、これから古い作品も読んでみようと思います。では。

通勤電車の中でこれを読んで、大変なことになりました。;P泣ける本、というよりも、いろいろ考える契機になったかな...。

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